改めて経営に専念することの大切さを痛感
現場に戻ってみて、どのような感想を持ちましたか。
わずか2カ月ではありますが、現場に戻ってみて感じたのは、サロンワークと経営者の両立の難しさです。サロンワークをすれば目の前のお客様のことを一番に考えないといけない、逆に経営者は目先の売上ではないことを考えなければなりません。僕は今回、お客様に久しぶりに対応してみて、お客様からダイレクトに喜ばれたり、やりがいを感じたりする素晴らしさを改めて感じました。そして僕の仕事は、こんな素晴らしいことをしている美容師さんたちのために、経営者としてステージを用意していくことだと思ったんです。僕は元々、拡大志向ではないのですが、スタッフがずっと働き続けてくれるのでその人たちの次のステージをつくるために出店したりして、それで徐々に店舗やスタッフ数が増えていきました。今も特には求人募集をかけてはいないのですが、「ここで働きたい」という人が自然と来てくれるんです。そんなスタッフのために、ふさわしいステージを常に用意していきたいですね。
求人も集客も、もっと特化しなければいけない
選ばれるお店になるために、何が大切だと思いますか。
よく、求人募集をしても人が集まらない、すぐ辞めてしまう、人が育たない、そういう経営者の方の声を聞きますが、それは魅力がないからなのではないでしょうか。魅力というのは待遇なのかやりがいなのか、色々あると思いますが、世の中には美容室が星の数ほどあるので、働く側の人は美容室選びには困っていません。それはお客様も同じです。

情報発信を通じて、業界の価値を上げていきたい
今後、美容業界の中でどんなことをしていきたいですか。
美容と健康は人間が生きていく上での永遠のテーマです。1人の職人としても経営者としても美容は素晴らしい業界だと思っているのですが、業界の社会的価値が低いと感じているので、そこを上げていきたいという思いはあります。僕ができることは情報発信なので、8店舗運営していることを通じて「kamiken.」の強みを見せながら業界を盛り上げ、経営に悩んでいる方の何かヒントになれば幸いです。僕は経営に専念するというポジションを取りましたが、チェーン展開をするとか、職人道を極めるとか、色々な立場があると思います。「道」や「ゴール」は自分で決めるものなので、それぞれの分野で自分らしさを忘れずに取り組んでいただくことで、この業界が盛り上がればいいなと考えています。

鈴木和敏(スズキカズトシ)
1979年、福島県生まれ。都内1店舗、福島県内1店舗を経て2005年、福島市で1人で開業。現在、福島県内に8店舗を展開中。経営コンサルタントとして全国でセミナーを行う他、雑誌等でも活躍中。

kamiken.
完全個別対応、全室半個室または個室で、ケアを中心としたセットメニューを提案し、高単価・高リピート率を実現。2020年にメンズ美容を打ち出したメンズサロンをオープン。