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小林純子さん/B.a.l.a.n.c.e

木造作りの一軒家で、見た目もシステムも家庭的なサロンをオープン。SHIMA時代の小林さんのイメージとはかけ離れた空間として注目された。しかしそれは、母の影響を受けた小林さんの理想的な世界観だった。同時に結婚をして子供を出産。仕事と育児の狭間でさまざまな葛藤を繰り返しながらも、ライフワークとして生涯をかけて歩む新たな美容人生のスタートを切った。

ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2009.2.5

理想を具体化した隠れ家的で犬がいる癒しのサロン

私は15年間もお世話になったことで、すでにSHIMA人間になっていました。ところが、いざ独立をして自分のサロンをオープンさせると、まったく逆の形態になりました。スタッフを雇う際、私は一度美容師を経験し、新たな目標を持った経験者のみ採用しました。マニュアルも最低限の物しかありません。また、出店の立地環境も駅から遠い隠れ家的な一軒家でした。これは、SHIMAでいい経験をさせていただいた故に、私のカラーを出したところ違うシステムになったんですね。家庭的でコーヒーやドリンクが出せるカウンターがあってもいいじゃない、犬がいて癒しの空間があってもいいじゃないって思っていました。それができる場所が、カフェとして通っていたこの物件だったんです。実は、独立後に結婚して子供が産まれた時も、サロンで育児をしていました。私がやるべきオーナー像とは、お店を大きくすることではなく、ライフスタイルとして、一生涯ナチュラルに、お客様と共に楽しめる空間をつくること。それを具体化するとこのようなお店になったんです。店名の『B.a.l.a.n.c.e』は、一般的なバランスという意味ではなく、両極端を合わせ持つという意味。洗練された感性や環境と、暖かく人間味のある空気感。どちらかに偏ることなく、両極端を兼ね備えているお店。まさにそれが、私が目指している人生観なのです。

決まり事がなくても自分たちで判断し合って変えていく

私がサロンをオープンして以来、モットーにしているのが『公私混同せよ』ということです。一般的には『混同するな』ですよね。私は美容師を一生続けるライフワークだと思っているので、このサロンでは人間関係を大切にしたいと考えています。私を含めてスタッフ全員で5〜6名のサロンなんて、家族と同じようなものですよね。そのために、私自身の人間性も見せながら、スタッフやお客様の人間模様を見たいと考えています。お互いプライベートを知ることも未来の人生設計には必要なことですよね。私もまだまだ途中ですから、スタッフに何でも話します。例えば、友人の結婚式に出席したくても、土日に仕事を休めないのがこの世界です。しかし、私は出なさいと言います。お客様のことも大切です。でも、一度しかない親友の結婚式に出席できないなんて、私は大人として嫌なんです。あるいは、遅刻に関して何時までに来ないと罰則!ということはありません。よく、ドラマのワンシーンで恋人が病気になり、そんな時に限って翌日に大事な商談や会議があったり、そんな時にどうするか…。そんなドラマチックなことが現実に起こることもあるじゃないですか。恋人が病気になったら、病院に連れて行ってあげたり、少し良くなるまでそばについていてあげる。おばあさんに道を聞かれたら、ちょっと遅れてでも連れて行ってあげたりする。そんな人間性の方を豊かにしていきたいんです。ただし、常識の範囲内の話であり、お客様を待たせることはNGですよ。こんな風におおげさに話していますが、スタッフはいつも早く来てくれています(笑)。ただ、決まり事がなくても社会人としての判断をして欲しい。“小林純子のお店”ではなく、“自分たちのお店”として、自分で考えて欲しい。決まり事なんて、どんどん変えていっていいんです。でないと、自分の欲しい未来にはなかなか行けませんよ。

育児で仕事を減らすことがお客様に申し訳ない

育児に関して、実は結婚前に主人から『子供は作らないでいよう』と言われました。私は子供がほしかったんですが、今、決めつけていることではないかと、時間をおいて考えることにしました。ところが、新居として一軒家に引っ越した時に、二人でワインを飲みながら主人が、『こんな家なら子供がいてもいいよね』って言い出したんです(笑)。そしたら運良く、すぐに授かりました。そして、私が店内で育児をすると言い出したところ主人には反対されたんですが、私の計画を話すとスタッフみんなが理解してくれました。そこまでしてくれるコミュニケーションを今までとっていたので、戸惑いながらも協力してくれたようです(笑)。ミルクを飲ませたりおむつを替えたり、お客様まで手伝ってくれたりしました。ただし、営業時間をフルで働いていたので、帰宅時間が夜の10時や11時。それは子供にとっていい環境ではないと気づきました。これでは私の独りよがりになると思い、子供のために6時には仕事を終えたいとスタッフに相談しました。でも、私は仕事を減らすことでお客様に迷惑をかけることが申し訳なくて、精神的にすごく悩みました。この選択は、今までの美容人生の中で涙が出るほど一番つらいことでした…。でも、お客様はよく理解してくださり、子供を優先させていただくことにしました。

夫からの『よく頑張ってるね』のひと言がビタミン剤

育児の経験を経て、今でも私はベストの選択は何かを考えて行動しています。それは自己中心的な考えではなく、スタッフやお客様にとって、あるいは私が美容師として母として何をすれば最もスムーズに行えるかを考えた選択です。そのために、たくさん話をして、相手の気持ちを理解するように努めています。スタッフに対しても、お客様の立場になって、もしくはあなたがオーナーならどうするかを考えなさいと指導しています。今は、自分の子供にも同じように教育しています。自分の主張をするのはいいが、そうすることでまわりの人がどう思うかを考えなさいと。そして、その人が思ったことにどう答えられるかまで考えなさいと言っています。今では3人の子供に恵まれました。3人とも1歳までは自分の手元で育てて、その後は保育所に預けていました。不思議なことに、サロンワークをしている時は仕事のことを、6時になって一歩外に出ると頭の中は子供のことにスイッチが切り替わるんです。それは、やはり家族やスタッフを信頼しているから。よく、女性としてサロンを経営しながら、仕事と育児や家庭を両立させる秘訣は何かと聞かれますが、私はやりたいことを頭の中でイメージしてそれを実行しているに過ぎないんです。女性は、イメージしてやれると思ったことに対して生まれるエネルギーは、男性よりはるかに範囲は広いと思います。だから、女性美容師で同じ悩みを持っている人には、『絶対できるから!』とエールを贈りたいですね。そして、男性に対しては協力的なサポートをお願いしたいです。それは、心のサポート。何かを手伝ってもらうより、『よく頑張ってるね、えらいね』『いつもありがとう』のひと言でいいんです。それが女性にとって大きなビタミン剤になるんですから。そして、今の私が出来ることは、同じような悩みや不安を持つ美容師さんが、話しに来やすい…そんなサロンでしょうか…。

B.a.l.a.n.c.e 代表。新潟県出身。東京綜合理容美容専門学校卒業。嶋ヨシノリ美容室(現、SHIMA)に入社。15年半の勤務で店長を務める。その後、独立のため同サロンを退社し、約1年間の充電期間を過ごす。1999年5月に結婚。同年8月、代官山に B.a.l.a.n.c.e(バランス)をオープン。現在、サロンワークを中心に雑誌や広告の撮影等でも活躍中。また、サロンのホームページにおいて自叙伝を執筆中。

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