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西本昇司さん/BRIDGE

カット技術を追究するため、そして最先端の流行に刺激を受けて東京に進出することを決意。いつしか、自分が流行発信をする側になりたいと願う。東京では中途採用というハンデはあったものの、苦労の末に入社したサロンで今でも戦友として互いに刺激し合う仲間たちに出会った。そして、時代の波に乗りながら、新たなブームを発信していった。

ライター 前田正明 | カメラ 奥村浩毅 | 配信日 2009.1.8

雑誌の影響で流行を発信する側になりたいと思う

広島から東京へ行こうと思ったきっかけは、業界誌を見て、ある疑問があったからです。それは、カットの技術解説を見ていて、肝心な部分が紹介されていなかったんですね。一番知りたいシーンが載っていないんですよ(笑)。それを確認したかったからです。多分、企業秘密で雑誌では明かすことができないシークレットだったんでしょう。それと、当時の『anan』に刺激を受けて、自分も流行を発信する側になりたいと思い始めたのも理由の一つです。今ほど女性雑誌が多くない時代に、先端を行くおしゃれなスタイルが紹介されていてそれに感化されました。広島のサロンにいた頃は頑張った甲斐があり、1年間で多くのお客さまから指名をいただけるまでになりました。いろんな技術もマスターできたし、ここで吸収すべきことは全て吸収できたかなとも感じていたんです。そこで店長に相談したら、『自分の夢を大切にしろ、今やらないと後で後悔する。もし、ダメだったらいつでも帰ってくればいいから』と、後押ししてくれたんですね。その言葉で上京する決心がつきました。

苦労して入社した東京のサロンで店長に就任

それから1ヶ月だけ有余をもらい、東京でサロンを探そうと思っていた頃すでに、僕を本気モードにさせた同期が広島で独立すると言っていました。23才でですよ。自分はこれから東京に進出しようと思っていたのに、彼はもう独立ですから(笑)。それで、オープンするサロンを見せてもらい、それから2日後に東京に行きました。東京では原宿・青山界隈のサロンに勤めたかったんですが、年齢の関係でどこも採用してもらえなかったんです。そこで、すでに上京していた先輩に応援してもらいながら、最初に雇ってもらったのがズッソでした。その当時、横手康弘さんが代表をしていて、ヘアメイク部門もあるおしゃれと評判の美容室でした。東京に出てきて、最初は高級感のあるモダンな店作りに緊張感を覚えた記憶があります。そのサロンでは9年間勤めて店長まで任されました。入店当初はシャンプーから始めたので最初は苦労しましたが、11ヶ月でスタイリストになることができました。そして、その後は夢だった雑誌の撮影でも仕事をさせてもらえるようになったんです。

友人のサロンを手伝ったことが大きな経験に

独立に関しては、資金的な面で東京で出店するのは無理だと考えていました。まわりの人たちも、地元に帰って独立した人がほとんどでしたからね。その当時、一緒に勤めていた山下浩二さん(現HEARTS・Double代表)や綾小路竹千代さん(現ACQUA代表)とも、スポンサーを募って共同経営でもしないと無理だよなって話をしていました。それから数年後に、すでに退職していた山下さんから強烈なラブコールを受けて、1年間だけ彼のお店を手伝うことにしました。そこで、サロン運営に関していろんな勉強をさせてもらいました。多分、その経験がなければ広島に帰っていたかもしれません。でも、まわりの友だちがみんな頑張っている姿を見て、お互いに負けられないという刺激を受けていたのは確かですね。そこで、なんとかなりそうだという気になり、青山学院大学の近くにアーティスサロンの1号店をオープンしました。その物件を探す時も、山下さんとバイクで2人乗りして見に行きました(笑)。その場所では約3年開店して、その後原宿にもオープンしました。当時はストリート全盛の時代で、カリスマブームに乗って雑誌でも取り上げてもらいましたから、時代の波に上手く乗れたと思います。

厳しい時ほど大きなチャンス!それをものにして

現在は青山と原宿のサロンを統合する形でこの場所に新しくブリッジをオープンさせ、すでに5年目になります。今後の展開は、原宿界隈にもう1店舗を出店予定です。今までの時代背景を上手くミックスさせた新しいお店を展開したいです。それと同時に、スタッフの採用や教育に関してももっと充実させていきたいです。特に、若い美容師さんには、今がチャンスだから頑張ってほしいですね。 10年後に残る美容師は、わずか2割と聞いています。それほど継続率が低いんですが、私は逆にそれがチャンスだと思います。今では東京も地方も同じ条件です。厳しい現状をピンチと思わず、負けないように自分の信念を強く持って進んでいってほしいと思います。

BRIDGE 代表。広島県出身。広島理容美容専門学校卒業。広島県内で2店舗、東京都内で某有名サロンのディレクターを経て独立。1995年、青山にARTIS SALONをオープン。2003年には原宿にBRIDGEをオープン。現在はサロンワークを中心に、業界誌や一般雑誌のヘアメイク、またセミナーの講師等で活躍中。

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