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八木岡 聡さん/DaB

西洋文化に大きな憧れを抱き、常に欧米のトレンドを意識していた。そして、若干24才で総店長にまで登り詰め、業界では先駆けとなるヘアショーの開催やヘアカタログの撮影等に活動の幅を広げた。そして、SHIMA退職後に渡仏してフリーランスとして活動。映画のロケで訪れた砂漠の地で、過酷な労働環境を目の当たりにし、仕事に対する厳しさを痛感した。

ライター 前田正明 | カメラ 更科智子 | 配信日 2008.11.6

24才で総店長になりヘアショーや雑誌撮影を展開

SHIMA にいた頃は、サロンワークをしながらいつも海外に興味を抱いていました。当時の日本は、欧米文化に対して強い憧れを持っていた時代ですから、私も洋書を読んで海外のモードやファッションを勉強しました。それと、私がこうして仕事をしている間にも、西洋にはもっとすごいことをしている美容師がいるんじゃないかと架空のライバルを想定して、一人で焦っていたこともありましたね(笑)。そんな憧れや強い刺激を西洋から受けていました。ただ、私もヴィダルサスーンで学んだ経験があり、その時は海外に行かなくても日本でできるんじゃないかという自信もありました。その後、私は21才で店長を、そして24才で総店長を務めました。その頃、サロンでヘアショーを開催したりヘアカタログの撮影をするなど、美容界での先駆けとしていろんな活動を展開しました。嶋先生も現場から引退された時期で、サロンの組織を変革したり教育マニュアルや試験を再構築するなどすべての面を任されるようになりました。

SHIMA退職後に渡仏してフリーランスとして活動

それからSHIMAが徐々に支店を増やして10店舗になり、スタッフも250人まで増えました。その頃、ニューヨークに支店を出そうという計画があり渡米したんですが、計画が中止になり1年半で帰国しました。そして、日本に戻って2年半でSHIMAを退職してその後フランスに渡りました。それは、よりクリエイティビティーな感性を体験したいがための選択でした。やはり、モードのルーツという部分で、パリには大いに興味がありましたから。パリでは雑誌や映画の撮影などを手がける、フリーのヘアアーティストとして約3年間滞在しました。思い出に残っているのは『マダムバタフライ』という映画でチーフヘアデザイナーをさせてもらい、チュニジアに9ヶ月間くらいロケに行ったことですね。そこはあたり一面砂漠で、とても刺激的な仕事でした。よく、美容師はハサミ1本持っていればどこでも仕事ができると言われますが、ここでは無理だなって思いましたね。みんな髪を隠していますから(笑)。映画監督はフレデリック・ミッテランという人で、フランスのミッテラン元大統領の甥でした。その人のお陰で、ミッテランの別荘に招かれたこともありましたね。

映画のロケで体験した仕事を得ることの厳しさ

ロケは、砂漠の真ん中にセットとロケ村を作って撮影が行われました。驚いたのは、砂漠なのに大勢の人が集まってきたことです。貧しい地域ですから、仕事を求めて人が殺到してきました。そして、周りを囲む柵の中にはマフィアみたいにピストルを持っている人がいるんです。中にはドロボウとかもいましたからね。さらに、ゲートボーイがいて、手動のゲートによって人の出入りを制御していました。当然、ロケ村にはレストランやいろんな建物が作られているんですが、ドアノブを買うより人を雇った方が費用が安いので、1つのドアに人が1人ずつ立っているんです。また、トイレも水洗ではないので、水を流す人もいました。つまり、定職がない環境ゆえにみんな仕事を求めているので、設備を整えるよりも人を9ヶ月間雇った方が安いんですね。これにはさすがに驚かされました。私たちは、日頃から都会的な環境で便利なものに囲まれて生活していますが、彼らは仕事を欲しいが為に群がって待っているんです。ドアの開け方が悪いとすぐにクビにされて、他の人に仕事が回りました。そんな現実を目の当たりにして、発展途上国において生きていくことは本当に厳しいんだと痛感させられました。そして、仕事を得て生活していくのは、本来は過酷なんだと実感しました。

株式会社ビタミンズ代表取締役。DaB代表。神奈川県出身。山野美容専門学校卒業。1975年株式会社アイランド(SHIMA)に入社。ヘアデザイナー、ディレクターとして活躍。'89年渡米、’93年渡仏。'95年に株式会社ビタミンズ設立。DaB HAIR MAKE OFFICEを開設。DaB daikanyama hair salonを開設。 '97年にDaB MIX hair salonを開設。'98年にDaB design officeを設立。'99年にDaB omotesando hair salonを開設。2000年にグッドデザイン賞を受賞。'02年に自身の作品展『PRIMITIVE DESIGN』を開催。現在、都内に3店舗を展開。ヘアデザイナーとしてサロンワークを中心に活動し、インテリア及びインダストリアルデザイナーとして器具のプランニングやデザインを手掛ける。また、化粧品の開発及びディレクション等にも従事する。

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