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HOME > TBMG > TBCA優秀賞デザイナー×「商店建築」塩田編集長 座談会/「ルーミング」で選ばれるサロンへ

 


case 7. emt.

1席のためだけに全てが作り上げられている究極のルーミング


湯口 ここ数年、スタッフを雇わず生涯一人でやっていきたいという方のお店を担当させてもらう機会が続いています。働き方や価値観が変わり、他店との差別化や客単価を上げるというのもあると思いますが、それとは別に自分一人だけのために1席だけのお店を作りたいというケースも増えていて、emt.さんも女性一人のお店です。1席でお客様が動くことなく、サブメニューまで提供できるようにとのご要望でした。一人サロンの場合、空間が小さいので、外から見ると見栄えがしないことが多いのですが、大型店の個室よりもハイグレードな空間を作ろうという狙いがあります。完全に仕切ってしまうと不安感がぬぐえないので、客席を中心に造作でくるむような構成を提案しました。


塩田編集長 外からも見えるのですか?

湯口 はい。プライバシーへの配慮から、座っているお客様の横顔がわずかに見える程度ですが、施術風景が望めます。

塩田編集長 究極のルーミングですね。

湯口 こういった個室サロンはここ何年かで増えています。これまではテナントではなく、家の一部で実施するなどのケースが多く、店舗への投資を抑えるための個室サロンでしたが、近年はテナントを借りて空間作りに力を入れたいという方が増えています。

塩田編集長 1席のために全てが作り上げられ、特別な体験ができるということですね。


case 8. PERSONAL SALON Soavi

個室そのもののクオリティを追求した2席のサロン

湯口 ご夫婦で施術するための、2席のサロンです。カットコースが10,000円〜で、客単価が店販含め約20,000円に届こうかというお店です。勤めていたサロンとは別の街での新規出店で、これまで通りの高単価を受け入れてもらいやすい田園調布に出店されました。

塩田編集長 どのような特徴がありますか。 

湯口 先ほどの個室サロンと違って、この場合、それぞれの部屋の距離感が重要になるわけですが、レイアウトは元の躯体(建物の骨格)の凹凸を活かし、感覚的な距離感が感じられるように工夫しています。また2つの個室は、中庭に面した個室と、街路側から入る光を取り込む個室とに分けて、差別化を図っています。個室を作ることが目的ではなく、ゆったりとした空間で、他店に比べて個室そのもののクオリティを上げることが狙いです。今年(2020年)5月にオープンしたばかりで、コロナの影響からオープン時に新規客を見込めないのが厳しかったのですが、クオリティの高い個室に価値を見出してもらえるお客様を呼び込み、徐々にリピーターを掴んでいっているそうです。



塩田編集長 個室だからこその設備的な配慮はあるのですか。

湯口 照明はそれぞれコントロールできるようにし、空調も個別の温度管理を可能にしました。また、個室を仕切る際に保健所の面積規定(13岼幣紂砲鮃洋犬掘扉をすべて閉めきれないようにするなどの方法を採用しています。

塩田編集長 なるほど。設備投資がある程度必要ということですね。新規開業でコロナ対策をしようという人が増えていると思いますが、個室化のコストは抑えたいところだとも思うのですが。

湯口 今後は、計画コストを抑えるパターンと、積極的に投資するパターンの2極化が進むと思われます。とはいえ、お客様への最高のサービスをとの意思や、技術者ご自身の実現したい働き方などを大切にされる個室サロンにおいては、後者のパターンを採用されるケースが増え、また受け入れていくのではないかと思います。


-- 事例を見てきました。「ルーミング」に大切なことは何ですか。

オペレーションやコミュニケーションのことまで考えるのが大切



塩田編集長 「ルーミング」は単なる「個室」ということでもなく、ヘアデザインを売るだけでもなく、複合メニューを提案するなどトータルで体験として売っていくものだということはわかりました。実際にサロンに「ルーミング」の考え方を取り入れた個室をつくるときにいちばん大切だと感じることは何ですか。

土手下 そのオーナーさんの頭になって、話をよく聞くことです。オーナーさんと同じ頭になることですよね。デザイン云々の前に、そのお店に来るお客様のことをイメージし、自分だったらどう考えるんだろうと、デザイナーとしてではなく、フラットに考えることが大事です。

小林 チャレンジが必要になりますよね。オープンしているのに鍵をかけるというのも、今までの考えだと怖くて提案できないのですが、それが最良の解決法だと思って提案してみる。実際やってみたらうまくいっています。

土手下 「鍵を閉めたら、お高く留まって!ってお客様から思われないですか?」というシンプルな疑問をオーナーさんにぶつけてみたりもします。そういうお客様の声って出ますよと。でも高単価のお店だから仕方ないですよねという方向で進んでいってよいですか?と。そういう問題提起をしたり、オペレーションやコミュニケーションのことまで考えることが大事です。

塩田編集長 サロンで個室をこんなにつくっているのは御社だけだと思います。それも、単に個室のあるサロンをデザインするだけではなく、様々な問題提起や提案もしながらサロンを創り上げていく。

小林 個室もそうですが、新しい空間をデザインする時、カッコよさだけではなく、人の動きや新しさを共通意識として持ち、デザインしていくことが大事だと考えています。僕たちは間違いなくノウハウはあるので、そのノウハウを新しい価値に転換していくことが必要ですね。

塩田編集長 なるほど。業界をよく知っているからこそできることですね。今日は貴重なお話しをありがとうございました。



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