栁澤利明さん(CHELSEA)

美容室を営む母の姿と学生時代に見た美容雑誌の作品に大きな刺激を受けた。「いつか美容師になってこんなカットができるようになりたい」。そんな夢を抱いて上京し念願のサロンに入社。そこで美容師としての基礎を学び、その後、腕を磨き20年のキャリアを経て独立し出店。パーマコンセプトでオープンし、再現性の高い高評価なパーマスタイルを提供。また、サロンで使用する「水」にもこだわりを持ち、サロンメニューの価値向上に努めている。現在は「パーマ」や「水」関連のセミナーで講師を勤めるなど、全国で活躍する。

ライター 前田 正明 | カメラ 藤村 徹 | 配信日 2015.10.1

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業界誌に掲載されていた作品に魅了されて美容師の道を進む

美容師になろうと思われたきっかけを教えていただけますか?

栁澤利明さん(CHELSEA)

私は、実家の長野県で美容室を営んでいた母の影響で美容の世界に入りました。お店は住居が隣接した美容室で、子供の時から母の仕事ぶりを見て育ちました。私には兄がおり、母は2人とも美容師にさせたかったようで、中学生の頃からサロンのお手伝いや練習をさせられましたね。職業として意識し始めたのは高校生の頃で、サロンに置いてあった美容雑誌を見ては感化されていました。決め手になったのは、業界誌に掲載されていたあるデザイン。直感でかっこいい!と思い、魅了されました。そして、そのヘアスタイルを手掛けたサロンに入りたいと思い、兄が卒業した東京の美容学校に入学しました。美容学校時代は、家業を手伝っていた経験があったので技術面で悩むことはありませんでした。当時の目標は、やはり美容雑誌に載っていたあのヘアスタイルをつくりたい、そして当時人気の原宿のサロンに勤めたいというのが夢でしたね。そして、卒業後に念願が叶って美容雑誌に掲載されていたそのサロンに入社することができました。

早さ・美しさ・デザイン性に衝撃を受けたプロのワインディング

実際に希望のサロンに入社されて実感はどうでしたか?

昔からロッドは触っていたし、美容学校時代から得意だったので、履歴書にも特技を「ワインディング」と記入しました。すると、入店初日の終礼後に1人でワインディングをさせられたんです。先輩や同期のスタッフが20人くらい見つめる前で突然の出来事でした。結果は、手が震えて1本も巻けずに終了。半泣きでした。入社初日にして、新卒がいくら得意だと言っても「現実はそんなに甘いもんじゃないよ」ということを身を持って教わりました。翌日、先輩の仕事を見ていると、巻くのが早いしきれいだし、しかも見たことのないデザインでワインディングしているんです。当時はサロンでヘアカラーが定着するかなり前で、美容室の主力メニューとしてパーマが全盛の時代。そのサロンでも多くのお客様がパーマをされていました。しかし、美容学校で学んだオールパーパスではなくすべてが初めて目にするデザイン巻きでかなりの衝撃を受けました。新人時代は厳しく指導を受けて、スタイリストとしてデビューしたのは入社して3年半後でした。初めてカットしたのは男性客でしたが、やっぱり手が震えたのを覚えています。でも入社初日とは違い、この時はちゃんとできましたよ(笑)。今考えると周りにいる先輩たちと同じ環境で仕事をしていることへのプレッシャーが大きかったですね。

栁澤利明さん(CHELSEA)

若い美容師たちの将来の夢を聞くうちに独立・出店を決意

美容師として当時頑張っていたことやその後の出店に至る経緯を教えていただけますか?

CHELSEA

そのサロンには20年も在籍し、その間にマネージャーや代表を務めさせてもらいました。サロンワーク以外に後輩たちの指導を行いながら、撮影の仕事も担当していました。その頃は、自分に与えられた仕事はすべてベストを尽くすつもりで頑張っていましたね。特に、入店初日にできなかったパーマ技術はあの日から必死に取り組んで、先輩たちよりも上手くなろうと頑張りました。気付けば私の得意分野はパーマになっていました。入社から20年が経っていましたが、その頃になっても独立するつもりはありませんでした。ある時、郊外サロンの有志スタッフを集めて小さな講習会を開いた時に、講師をしてもらった原宿界隈の美容師さんから「独立して出店しないんですか?」って聞かれたんです。なぜそんなことを聞くのかたずねると、「将来のビジョンを持っているけど、今のサロンではそれが描けない」って言うんです。そんな彼らの夢を聞くうちにどんどん興味がわいてきて、若い人たちと一緒にお店をオープンすることになりました。

パーマをベースにしたコンセプトスタイルを原宿から発信

 オープンに至るまでの苦労話やサロンのコンセプトを聞かせてください。

CHELSEA

内装のコンセプトはブルックリンモダンをテーマとしたニューヨークテイスト。店名の由来でもあるチェルシーホテルの赤レンガをイメージしました。そして、若い人材を育成しながら教育機関としての役割を兼ね備えたサロンを目指し、展開しています。ヘアデザインに関してはパーマをベースにしたスタイルを提案しています。それと、うちのサロンの特徴は「まじめ」。何事も「まじめ」に取り組んでいるので、スタッフもお客様もまじめな人が多いですね。オープン当初で一番苦労したのは物件探しでした。人材に関してはサロンオープンの構想段階で既に揃っていたし、集客に関しては技術があればお客様は来店されると信じていたので、サロンに勤めていた頃のノウハウでお客様を呼ぶ自信はありました。当時から常に新しいヘアデザインを発信していましたから。ただ、物件には苦労しましたね。個人経営なので契約面で審査がなかなか通らず、不動産屋さんと大家さんに信用を得るのが大変でした。

スタッフたちと将来のビジョンや意識の持ち方を共有する

 経営者になって経営面で大変さを感じたことは何ですか?

経営者になって大変さを実感したのはやはりスタッフに関してですね。歴史のない若いお店なので、将来のビジョンや意識の持ち方を共有することに神経を注ぎました。ただ、歴史や伝統がない分、大手サロンとは違う手段で展開できるので、そんな魅力を彼らに感じてもらうように努力しました。技術教育に関しては、やはり接客業としてお客様に満足していただけるサービスを提供できるように厳しい指導をしています。経営面に関しては、いかに効果的にサロンに投資するか、そのバランスを重視しています。時代の流れとともに常に方法論も変わってくるので、その見極めが難しいですね。私は経営者でありながら一美容師でもあるので、スタッフたちと同じように固定給にしています。オーナーだからたくさんお給料をもらうのではなく、サロンに投資をして、多くのお客様に来てもらい、サロン全体の価値を上げていく。そんな風にお金を大事に使うようにしています。集客面ではどのサロンも苦労されていると思いますが、うちでは常に得意なテクニックや強みをピンポイントで打ち出しています。広告での謳い文句と実際の内容が違えばお客様はすぐに見抜きますよ。仮に、シャンプーがすごく上手なスタッフがいれば、それをアピールしても構わないと思うんです。正直に、自分たちの強みを自信を持って打ち出せば、お客様には届きますよ。今は本当に様々なツールや媒体があるので、地域性やサロンの特徴に合ったものを選び、「これなら他のサロンに負けない」というポイントをどんどんアピールしてみてください。

栁澤利明さん(CHELSEA)

名だたるサロンがある原宿でエアウェーブなら勝負ができる

チェルシーのデザインコンセプトでもあるパーマに対するこだわりは何ですか?

CHELSEA

ヘアカラーが定着した時代でありながら、トレンドとして発信されているスタイルはいまだにパーマがベースになっています。実際にパーマをかけていなくても、アイロンで巻いたパーマ風のスタイルをヘアカタログなどでよく目にします。しかし、巻き髪はお客様にとって再現しにくいんですよね。そんな再現性アップを叶えるために、パーマをデザインコンセプトにしているんです。うちではパーマメニューを多数そろえていますが、その中で最も力を入れているのが実は「エアウェーブ」なんです。女性の中には興味を持っている人は多いようですが、サロンもお客様も、まだエアウェーブの魅力に気が付いていない人が多いのだと思います。私はエアウェーブのパフォーマンス力の高さを評価していますし、原宿や南青山界隈に有名サロンが数ある環境において、エアウェーブなら他店と差別化ができ、勝負ができると思って力を注いでいます。

主力のパーマメニューをほぼエアウェーブにしているその理由とは

栁澤さんはエアウェーブのどこに魅力を感じていますか?

栁澤利明さん(CHELSEA)

コールドパーマではかからない、薬剤の力だけではどうにもならないという髪質の場合、熱の力を利用してカールすることが多いですよね。そんな理由から、いわゆるデジタルパーマを代表とするホット系パーマを導入しているサロンは多いと思います。世の中にある多くの熱を利用するパーマは、熱変性によるダメージが気になります。しかし、エアウェーブは熱変性せず温風と空気の力を利用してカールスタイルをつくっていくので、ダメージが最も少ないパーマ促進機だと考えています。毛髪の余分な水分を吸引して温度コントロールなど空気の力でカールを瞬間記憶させるシステムなんて、他にはありませんよ!そして、マシンによる演出効果やインパクトがかなり大きいので、サロン内で話題になります(笑)。中には、「マシンに頼るな、プロなら腕で勝負しろ」という意見の美容師もいます。でも、エアウェーブのベースはコールドパーマなので、マイナス面が少なくてコールドパーマのメリットをより実感しています。今では、うちのパーマメニューのほとんどがエアウェーブと言っても過言ではありません。

パーマによる苦い経験やトラウマがない黒髪世代に提案する

エアウェーブでのデザイン提案やターゲット層をどのあたりに絞っていますか?

CHELSEA

20~30代の女性はスタイルやファッションにおいて線が細い人が多く、パーマをかけると全体のバランスが悪くなってしまう事があります。それを避けるためにカラーで明るくするとダメージでパーマがかかりにくくなってしまう・・・。さらに、その世代の女性にはパーマに関して苦い思い出を持っている方が多く、パーマ人口も少ないのが現状です。そんなお姉さん世代にターゲットを絞るのではなく、むしろ10代後半の高校生や大学生たちが思い描く女性像に適したデザイン提案がエアウェーブでできると考えています。彼女たちは黒髪世代でダメージがなく、しかもパーマによる過去の苦い経験やトラウマがありません。そんな女性に、再現性の高いパーマを提案することでエアウェーブの需要が増えると思うんです!今年の秋から来年の春にかけてそんな世代に提案するデザインがトレンドになりそうなので、これから仕掛けていく予定です。今の若い人たちは、パーマを新鮮なものとして捉えているようで、一度パーマをかけると気に入ってくれるケースが多いですよ。そんな若い人に上手く提案をして、今後パーマも活性化していきたいですね。

専門店としてプロ用の水が使われていなことに疑問を抱いた

 サロンで使用する水にもこだわりを持っているとお聞きしましたが?

栁澤利明さん(CHELSEA)とスタッフ

エアウェーブ以外にうちのセールスポイントとして導入しているのが軟水と炭酸泉です。サロンメニューにおいて、「水」は全てに関係していますよね。こんなにサロンと深い関係にありながら、これまであまり手をつけられていなかったのも実は水だと思うんです。私たちはプロとしてお客様と接しています、髪の専門店です。しかし、専門店としてプロ用の水が使われていなかったことに気付いたんです。今は水を選んで買う時代です。お客様の方が水に対して敏感になっています。しかし、私たちサロンでは未だ水道水を使っている・・・。この矛盾に着目したのが導入した理由です。実際に軟水を使うと髪の仕上りがかなり違うし、これは私たち美容師よりもお客様の方が実感されていますね。水に余計な混合物が入っていないのでしっとりして素髪のなめらかさが体感できます。炭酸泉は開発にも関わらせていただいた「トルケア シュア」を導入していますが、カラーやパーマでの髪の負担を軽減しながら、さらにパフォーマンスもUPしてくれる優れものです。「トルケア シュア」はメニューによって濃度をコントロールできるだけではなく、湯量にも対応してくれるので、どんなシーンでも活躍してくれます。現在は水やパーマに関するセミナー活動も行っているので興味を持った方はぜひご参加していただきたいですね。今後は、スタッフたちの将来を考えて、彼らのバックアップをしながらいいパートナーシップを築きたいと思います。独立を考えている人には応援をし、困難なことに直面したら惜しみなく手を差し伸べてあげたいと考えています。最後に、将来の美容界を担う若い人たちに対して、魅力のある美容師になってほしいと思います。技術やサロンのシステムは10~20年前と比べて大きく変わっていますが、根本的に私たちの仕事は同じです。お客様を魅力的に変えるには、まず自分を磨くことが大切でしょう。だから、美容師として、人として魅力的な人間になるように頑張ってください。

栁澤利明さん(CHELSEA)

栁澤利明(ヤナギサワトシアキ)

CHELSEA代表。長野県出身。高山美容専門学校卒業。1989年に原宿のサロンに入社。2009年に同サロンを退職。2010年3月にCHELSEAをオープン。「技術×薬剤×機器」の三位一体のテクニックで髪にダメージを与えず、再現性の高いトレンドなパーマデザインの提供をモットーにしている。現在はサロンワークを中心に、講習活動や撮影でのヘアメイクとして幅広く展開中。

CHELSEA

CHELSEA

チェルシーが大切にしているのは、「髪を傷めず」可愛いヘアスタイルを提供すること。これを叶えるのは、最新の『薬剤・機器・技術』を使用したノンダメージなパーマ、カラー施術です。お客様の髪の施術履歴と状態を的確に診断し、最適な薬剤・機器・技術を用いて理想の可愛いヘアスタイルをご提案します。


https://www.chelsea-tokyo.com/

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